ケトジェニック・ダイエットは、皿に肉だけをのせて食べるような寂しい食生活をすすめているわけではありません。肉だけでは食事のバリエーションが少なくなりますし、肉だけでは摂れない栄養素もあります。

肉と一緒に食べたいのは野菜。ケトジェニック・ダイエットがお手本とする原始人も肉だけでなく、野菜の野生種にあたる植物を食べていたはず。原始人の食料となっていた動物の多くは草食ですから、狩猟採集の環境では青々とした草原が広がっていたはずです。

加熱していない生野菜なら両手のひらいっぱい、加熱した野菜なら片方の手のひらに山盛りのる量を目安とします。これで毎食120gの野菜が食べられます。

厚生労働省では1日350gの野菜の摂取をすすめていますが、日本の成人が食べている野菜は1日280g前後。昔から比較的野菜を好まないとして知られるアメリカ人よりも摂取量が少ない状況です。1日3食の人は毎食120gの野菜を食べると、120×3=360gで厚生労働省の基準をクリアできます。1日2食ならその1・5倍、生野菜なら両手のひらいっぱい+片手いっぱい、温野菜なら両手に山盛りのる量を一度に食べます。

生野菜なら野菜の栄養素を損なわずに摂り入れられます。温野菜は加熱の過程で破壊される栄養素もありますが、カサが減って食べやすくなるというメリットがあるので、両方を上手に組み合わせましょう。

自宅では、焼いたり茹でたりした肉に旬の野菜を合わせて豪華なサラダにしたり、野菜と肉を一緒に炒めたり、鍋にしたりすると、肉と野菜を同時に食べられます。

外食は総じて野菜が不足気味になります。外食で肉料理をオーダーしたら、ご飯やパンを食べない分、野菜料理を追加しましょう。それでも野菜の必要量を補うのは大変なので、外食する日は前後の食事で野菜をいつもよりも多めに食べて帳尻を合わせるように心がけます。第2章で触れたように、野菜でも糖質の多いカボチャ、レンコン、ニンジン、タマネギなどは一度に大量に食べないようにしたいのでー。

野菜を食べるといいワケ

野菜は肉から摂りにくい栄養素を含みます。その筆頭に挙げたいのが「ビタミンC」。ビタミンCは肉にはほとんど含まれていませんが、タンパク質の合成に欠かせないヒトにとってなくてはならない栄養素です。

すでに指摘したようにビタミンCが不足すると壊血病という死に至る病を招きます。皮膚、粘膜、血管などをつくるタンパク質(コラーゲン)を構成するアミノ酸の一種「ヒドロキシプロリン」の合成にビタミンCが不可欠だからです。ビタミンCには人体に有害な活性酸素に対する抗酸化作用もあります。ビタミンではC以外にEにも抗酸化作用があります。Eは油脂に溶ける脂溶性。細胞膜の油脂成分に溶けて細胞を活性酸素から守っていますが、水に溶ける水溶性のビタミンCはフットワークが軽くてどこにでも拡散しますし、酸化されたEを身代わりになって再生させる機能を担っています。